お知らせ

2016年

「第5回 医療人キャリア支援室 キャリアアップセミナー」を開催しました。

ポスター  2月18日(土)14:00より、ANAクラウンプラザホテル宇部にて「女性がより活躍できる社会を目指して~今、伝えたいこと」というタイトルで国谷裕子さんの講演会を開催しました。

 国谷裕子さんは、2016年3月まで、19:30~20:00のNHKの報道番組「クローズアップ現代」の月曜~金曜のメインキャスターを23年間勤めてこられた方です。 番組で取り上げられたテーマはジャンルを問わず、国内外の政治や社会問題から科学、健康、スポーツなど、その時代を反映する様々な問題を多様な切り口で提起されていました。 とりわけ、柔らかい物腰から問題の核心に迫ろうとする明快なインタビューは、専門的なこともわかりやすく、多くの視聴者から支持されてきました。

国谷裕子さん 田口病院長

 今回の講演会では、ご自分のキャスターとしての歩みの中で経験された失敗談から始まり、“自分へのリベンジ"として現在まで進んで来られた過程、 女性活躍推進法が制定された日本の現状、名実ともに女性が活躍するために今後必要と考えられること等について、 持ち前の広い知識の中から、ユーモアを交えながら語っていただきました。

国谷裕子さん 講演会の様子

 1時間余りのご講演の中で語られたことを全部列挙することは到底できませんが、特に興味深かったのは、高学歴の女性対象のある調査研究で、 意欲のある女性ほど先での離職率が高いという結果が出た、その背景には、女性の仕事と家庭の両立の難しさという以前に、やりがいのある重要な仕事は男性に任される傾向があり、 育児休暇から復職した女性のキャリアは停滞している、また、決定権のあるポジションには女性が少ないというような状況が、やる気をもった女性の意欲を低下させ、 やがては離職につながるのではないかという推論でした。その他、男性上司が部下を指導する時、また、部下が失敗した時の上司の対応にも、男性部下に対しては、 より育てようという意識が働いた対応をする傾向があるようです。 つまり、職場での昇進や仕事の選択、指導の仕方などにも男女不平等が存在し、これらの男女の不平等をもたらす意識を変えないと、やる気のある女性を育て、 離職を減らすことはできないということでした。
 また、女性に対しても、女性自身の自己肯定意識の低さも問題になることであり、リーダーシップとは何か、 女性も下にいては見えないものを見るために上を目指してチャレンジすることが大切だと話されていました。

黒川典枝先生 講演会の様子

 国谷さんのプロフィールを拝見しますと、お生まれは大阪府ですが、お父上が転勤されるごとにご家族で移動されたため、幼少期から海外での生活が長く、 大学も米国の大学を卒業されています。テレビ画面で見る国谷さんは、凛とした姿勢で相手の気持ちをそらさぬインタビューをされるスキのないイメージでしたが、 実際の講演はユーモアと笑顔にあふれ、より身近な方という印象に変わり、おっしゃることも、仲間からの温かいエールとして参加者の心に届いたのではないかという気がします。
 今回の講演会参加者は総勢208人、医療あるいは大学関係者が中心でしたが、これからキャリアを形成していこうとされる若い方々、その方たちを育てていく中堅以上の方々、 それぞれ背景は異なっても満足していただけた講演会だったと思います。
 ご参加いただきました皆様には心よりお礼申し上げます。


「第4回 医療人キャリア支援室 キャリアアップセミナー」を開催しました。

ポスター  11月2日17:30~19:30に、表記のタイトルで、精神科医師であり、産業医で、かつ作家でも活躍中の奥田弘美先生の講演会を霜仁会館で開催しました。
今回の講演会には、院内の様々な部署から多くの方にご参集いただき、まことにありがとうございました。

 ご講演では、精神科専門の産業医としてのご経験から、ストレスとは何か、ストレスが生まれる原因、ストレスに対する体の反応、ストレスから病気に進展させないための対策などわかりやすくお話しいただきました。
最後には、最近先生がはまっていると言われる“マインドフルネス瞑想”についてのお話と実技指導までしていただき、2時間の講演時間があっという間に過ぎてしまいました。

奥田弘美先生 田口病院長

 奥田先生は平成4年に山口大学医学部を卒業され、その後、ご実家のある奈良に戻られ、神経内科医としてのキャリアをスタートされました。 その後、先輩女医さんの助言で精神科に転科され、精神科医として勤務される過程で、職業人のメンタルヘルスに興味をもたれ、産業医の資格も取得、今では、16企業の産業医として活躍されている方です。

矢野センター長 奥田弘美先生

 医師としての活動の他、作家としての執筆活動でも、 「精神科医の脳ダイエット:思い込みから解放されたらするっとやせて20年リバウンド知らず!:出費ゼロ!ツラさゼロ!リバウンドゼロ!!」 「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」 「女医が教える働く男の怒りと疲れをパワーに変える処方箋」 「部下をうつにしない上司の教科書:メンタルダウンを防げ!」 「精神科医もやっているうつが逃げ出す50のコツ」等々、ベストセラーも数々生み出される活躍ぶりです。

講演会の様子 講演会の様子

 このようなご活躍も、その時々にやるべきことをきっちりしてこられた背景があってのことだということが、 ホームページ「女性医師キャリア支援ネット in 山口」の“こんにちは!先輩”に寄稿していただいたメッセージから納得できました。 追って、ホームページ上に先生のキャリアモデルとしてのメッセージを公開しますので、どうぞそちらもごらんください。


「第3回 医療人キャリア支援室 キャリアアップセミナー」を開催しました。

ポスター  医療人キャリア支援室主催講演会の呼称を、今回より“キャリアアップ セミナー”と変え、 第3回医療人キャリア支援室キャリアアップセミナーを、9月21日(水)18:00~20:00にS1講義室で開催しました。
座長は、消化器・腫瘍外科教授の永野浩昭先生と医療人育成センター副センタ―長の黒川典枝先生にお願いし、基調講演を永野浩昭教授、 続いて、第3内科医師の田中芳紀氏、救急救命センター看護師の向江 剛氏、検査部臨床検査技師の西岡光昭氏、 薬剤部薬剤師の渡邊正規氏の4名の方がそれぞれの体験に基づいてお話をしてくださいました。

講演会の様子 講演会の様子

 永野教授は、前半に、大学時代の同級生であった奥様の視点で仕事と家庭の両立経験を話してくださいました。 先生のご家庭での役割は、「奥様を信頼し、口を出さなかった」という点で高い評価をもらっているとのことでした。 後半では、増えつつある女性外科医師のキャリア支援については、外科医全体の労働環境改善や女性医師自身の仕事に対する責任感の育成、 チーム医療の実施等を並行して進める必要があるというお考えを述べられました。

田中医師 向江看護師
西岡検査技師 渡邊薬剤師

 他の4名の方は、皆さん、平成時代に専門教育を受けられた世代で、同じ職種のパートナーとの間にお子さんを設けられ、 互いのキャリア形成と家庭での役割をいかに両立しているかをお話いただきました。 どなたも、お子さんは2~3人、頼れる実家は近くにはなく、それでも様々な困難を乗り越えてご夫婦ともに仕事を継続されています。 それぞれ個性の異なるご家庭のお話に、笑いあり、驚きあり、感動ありの2時間でした。 皆さんの“共働きを成功に導くコツ”をまとめますと、 1)お互いを信頼し尊敬する、 2)報告・相談・連絡を怠らない、 3)家庭の中の仕事を男だから女だからという理由で分担せず、できることはできる方がする、 4)感謝の気持ちを伝える、 5)優先順位をつけ、完璧を目指さない、 6)甘えすぎず、頼りすぎず、というようなことに落ち着きそうです。

講演会の様子 講演会の様子

 職種の違いはあるものの、このようなすばらしいロールモデルが身近におられるということは、世の中の男性の意識も確実に変わりつつあるということであり、 これらの先輩に続く後輩にとって、男女共に働きやすい山口大学となることが大いに期待できそうです。


「第2回 医療人キャリア支援室 定期講演会」を開催しました。

ポスター  医療人キャリア支援室主催の第2回講演会を7月12日(火)に開催しました。
講師は、慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科/予防医療センターの小谷紀子先生で、「自分に出来ることを探すということ」というタイトルでお話しいただきました。

小谷紀子先生 講演会の様子

 小谷先生は1993年大阪大学理学研究科修士課程修了、その後、武田薬品工業株式会社医薬開発本部にて研究、臨床開発に従事されました。
ご結婚、長女のご出産の後、1型糖尿病を発症され、それを契機に医師を志して、一般入試で2003年慶應義塾大学医学部に入学されたとのことです。

講演会の様子 小谷紀子先生

 ご両親から遠く離れた地で、海外出張の多いご主人の援助も限られる中、6年間の学生生活から2年間の研修医生活を経て現在に至るまで、 お子さんを育てながらやり遂げられたとのことです。
「ポリクリも含め学生時代は楽だった」とさらりとおっしゃったのに驚いたのですが、それに比べて、卒業後、特に研修医時代は厳しかったようです。

講演会の様子 小谷紀子先生

 何週間か、冷蔵庫に作り置きの食事を置き、お子さんはそれを温めて食べるという期間が続き、 お子さんの起きている顔を見たことがなかった時は辛かったとおっしゃったのを聞いた時は、“楽だった学生生活”と言われたことに納得しました。


演会の様子  研修医終了後は同大学腎臓内分泌代謝内科にて診療及び研究に従事されています。
ご自身の患者としての経験も踏まえ糖尿病患者と向き合うとともに、糖代謝機構解明のための研究に携わっておられ、2014年に日本臨床分子医学会学術奨励賞を、 2015年には日本糖尿病学会Young Investigator’s Awardを受賞されています。
学会に参加し、人の前で研究成果を発表するということの満足感、そのような場で学外の研究者と知り合い、 交流がひろがっていく楽しさを若い医師の方々にも知ってほしいと言われていました。


演会の様子  目的を定めたら、様々な困難に遭遇しても、自分にできることを駆使してしなやかに進んでいかれる小谷先生に、参加者は感銘を受け、励まされた講演会でした。